個人事業主が法人化(法人成り)すると増える費用【第4回】

個人事業主さん
個人事業主さん

前回の法人化シミュレーションで、
社会保険料が上がるということはわかったんですが、
法人化すると他にもお金がかかるんでしょうか・・?

神澤
神澤

はい。社会保険料以外にも、法人化すると出費が増えます。
これもシミュレーションに入れて考えたほうが良いので、ご紹介しますね。

会社を作るときの費用

個人事業主なら、税務署に届出をするだけで、事業をスタートできました。
しかし法人化すると、まず会社を作るための費用がかかります。

設立手続きは、司法書士や行政書士に依頼するか、ご自身でやって頂くかのどちらかです。
今は無料で簡単に会社が作れるサービスもあるので、ご自身でもチャレンジして頂けます。

会社を作るときの費用は、どんな種類の会社を作るかによって異なります。
よく株式会社か合同会社で迷われる方が多いので、この2つで見てみましょう。

合同会社のほうが簡単に作れるので、株式会社の半分しか費用がかかりません。

株式会社に必要な公証人手数料は、資本金によって異なります。
資本金100万未満なら3万、100万以上300万未満なら4万、300万以上なら5万です。

なお印紙代4万を払うのは、「定款」と呼ばれる会社のルールブックを紙で作った場合のみです。
PDFで作成・署名した「電子定款」であれば、株式・合同どちらも4万はかかりません。

ただし自分で電子定款を作るには、カードリーダーやマイナンバーカードが必要だったり、
そこそこ手間はかかります。

freee等を使ってご自身で設立手続きをする場合でも、
5,000円程度で電子定款の作成代行はしてもらえるので、ここはお任せがいいかもしれません。

上記に加え、各種書類の発行代3,000円程と、会社の印鑑代がかかります。
脱ハンコが進み、印鑑を使うケースはぐっと減りましたが・・
こだわらなければ数千円で作れるので、まだ会社の印鑑はあったほうが良いでしょう。

個人事業主さん
個人事業主さん

合同会社なら7万ぐらいで作れるんですね!
だから僕の周りは合同会社が人気なのかあ。

毎年かかる費用

会社の住民税

個人事業主の時は、事業で赤字になった場合、
所得税や住民税はかかりませんでした。

しかし法人化すると、赤字でも毎年必ず住民税を払わなければいけません。
これを「均等割」といいます。

「均等割」は資本金の額や、従業員の数、
会社のある地域によって異なりますが、大体7万です。
(資本金1,000万超や従業員50人超だど、2倍以上になります)

ちなみに前回のシミュレーションでは、法人税等の中に「均等割」も含まれています。

税理士への報酬

個人事業主の場合、確定申告はご自身で済ませてしまう方も多いですし、
税理士にお願いしても、年間10~20万が相場です。

しかし法人化した場合、お願いする内容によって料金も変わりますが、
小規模であっても、年間30~50万ほどかかります。
当事務所の料金表は、簡単に年間報酬がシミュレーションできるので、
ぜひ参考にしてみてください。

ここからは余談ですが、法人化=必ず税理士に依頼しなければいけない、
というわけではありません。確定申告同様に、ご自身でやって頂いてもOKです。
法人税の申告書も、今後ますます、安価で簡単に作れるサービスが出てくるでしょうし。

では、頑張れば自分でできそうなことに対して、
小規模な会社でも、税理士に数十万払う価値はあるのでしょうか?

税理士の仕事は、お客様に見えない仕事のほうが多いため、
お客様からすると、出来上がった申告書にお金を払っている感覚になります。
税理士へ依頼する価値=申告書作成だけでは、確かに高いですよね。

では次のように考えてみてください。

法人化すると、やらなければいけないこと・検討することが増えます。
けれど、そこに社長の時間をいくら投入しても、残念ながら1円も稼げません。

特にひとり社長の場合、営業・経理・総務も全て自分が担当者です。
本業に集中するためには、人でもAIでも、何かしらに任せないといけませんよね。

このなかで、他に任せても品質が落ちない、
むしろ上がるのは、やはり経理業務ではないでしょうか。
しかし、経理担当者を雇うとなると、月20~30万の人件費がかかります。

税理士に依頼すれば、高品質が保証されるのは当たり前です。
知らないうちに損していた、自分でやった手続きにミスがあり対応に時間やお金を奪われる、
正しい数字がわからず判断を見誤る、といったことも避けられます。

また、困っても相談相手がいる、自分の事業を理解し応援してくれる、
という心理的な安心感も生まれます。

もちろん、税理士に外注しても、社長の経理作業はゼロにはなりません。

ですが、「社長の時給×税理士に任せることで浮く時間」や、
経理担当者を雇う人件費、その他に得られる様々なメリットを考えると、
改めて、月数万の税理士報酬をどう感じるでしょうか?

ぜひ、長期的・大局的な目線で、税理士報酬を考えてみてください。

個人事業主さん
個人事業主さん

コストを抑えすぎて、本業がおろそかになっては本末転倒ですもんね。
今まで税理士さんと関わる機会がなかったのでピンとこなかったのですが、
顧問料をお支払いする意味も理解できました。

場合によって、かかる費用

自宅(賃貸)や車の名義を会社に変えると、経費の幅が広がり節税につながります。
しかし、会社名義に切り替えると、礼金が2回発生したり、保険料が高くなることもあります。

他にも、個人名義ならインターネットバンキングの手数料は基本無料ですが、
会社名義だと月2,000円ほどかかる口座も。
自宅で登記ができないと、別にオフィスを借りる必要があるかもしれません。

今使っているサービスやモノが、
会社名義に変わることでどうなるか、念のため確認しておきましょう。

また、会社の基本情報を変更すると、「登記」が必要になることがあります。
例えば会社の住所を他の県に移した場合、印紙だけで6万。
一緒に社長の住所も変えると、さらに1万。

司法書士への報酬も含めると10万はかかります。
お引越しが頻繁にある方は、これもランニングコストになるので、注意してくださいね。

シミュレーションに費用を反映してみよう

個人事業主さん
個人事業主さん

僕の場合、今のところ増えるのは、
ネットバンキング手数料やクレジットカードの年会費ぐらいでした!
事業の儲けは1,200万です。

神澤
神澤

では税理士報酬も含めて、プラス50万で経費に反映しましょう。
個人事業主さんは、奥様とお子さんを扶養されていましたね。

個人事業主さんのケースで試算し直すと、税負担は100万も減りました。
一方で、経費はプラス50万なので、全体で残るお金は年間50万増えることになります。

個人事業主さん
個人事業主さん

初年度の設立費用が追加されても、これなら問題ないですね。
個人の手取りも月45万あれば、大丈夫そうです。
いよいよ僕の法人化も現実的に・・!

神澤
神澤

いずれ奥様も一緒にお仕事されるなら、お給料も払えますよ。
シミュレーションは10年ぐらいでやってみると、より良いです。
次回は法人化のスケジュールについてお話しますね!

当事務所では個人事業主さんからのスポットのご相談や、
有料で、法人化シミュレーションのご依頼も承っております。

何がわからないのかわからない・・という状態のご相談でも構いません、
ぜひお問い合わせ下さい。

最後までお読み頂きありがとうございました^^

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