法人化のメリット・デメリットは、わかってきました!
でも、法人化の目安ってあるんでしょうか?
これが本当に難しいところで、その方の状況によります。
なぜ難しいのかも含め、法人化の判断の仕方についてお話していきますね!
よく言われる法人化の目安
よく、「所得800万以上」「売上1,000万超」であれば、
法人化したほうがいい!という話を耳にしたことがありませんか?
所得800万以上なら法人化すべき?
儲けが800万の個人事業主が法人化すると、どうなるのでしょうか?
大田区在住の35歳(扶養家族なし)・コンサルタント業のケースで考えてみましょう。
法人化する前と同水準の生活ができるように、設立した会社からの給料は、年収600万とします。
社会保険を含む税負担は、2,695,300円>2,555,500円、
法人化すると139,800円、手元に残るお金が増えますね。
でも、たった139,800円かあ・・と思いませんか?
自分で全部やるのは厳しいから、税理士報酬も今より増えますしね。
社会保険料がもっと安くなればなあ・・
では、社会保険料を下げるために、年収300万にしてみましょう!
年収600万のときより税負担が下がりましたね。
法人化すると420,280円、手元に残るお金が増えそうです。
ですが、個人で自由に使えるお金は年間233万、
個人事業主時代に比べて、半分に減ってしまいました。
月の手取りが20万きるってことですね。
一人暮らしなら何とかなりそうですが、家族がいたら許してもらえないかも・・
今回行った試算は一番シンプルな例なので、微妙な結果になりましたが、
法人化のメリットをもっと使えるような状態にあれば、
所得800万というのは、法人化を考えるひとつの目安になりそうです。
売上1,000万超えたら法人化すべき?
2年前の売上が1,000万を超えると、その年は「消費税」を払う必要があります。
これは個人事業主であっても、法人であっても、仕組みは全く同じです。
つまり法人化しても、払う消費税の金額は変わりません。
ではなぜ、売上1,000万超の個人事業主は、法人化したほうがいい、と言われるのでしょうか?
答えは、法人化した最初の2年間は消費税を払わなくていいから、です。
消費税を払うかどうかは、2年前の売上が1,000万を超えているか?で判断します。
では個人事業主の例で見ていきましょう。
開業して2年目までは、そもそも2年前の売上がないので、消費税を払わなくてOKです。
(独立前の給料には、消費税がかかっていないのでノーカウントになります)
3年目は1年目の売上が500万なので、まだ払わなくてOKですね。
4年目から、2年前の売上が常に1,000万を超えているので、
消費税を払わなければなりません。
では法人化するとどうなるでしょうか?
法人化すると、個人事業は廃業となるため、
通算4年目であっても、法人としては1年目という扱いになります。
個人事業主と、法人は全く別物の存在になるため、
法人2年目までは、2年前の売上はゼロ。
つまり法人化すると、消費税を払わなくてよい期間が、2年伸びることになります!
売上1,500万の場合、簡易的に計算すると消費税は年間70万なので、
2年伸びれば140万もお得に。これは大きいですね。
しかし・・これに影を落としたのがインボイス制度です。
法人化1年目からインボイス登録すると、
1年目・2年目が免税となるボーナス期間がなくなります。
残念ながら、インボイス制度が始まると、「売上1,000万超」は法人化の目安から外れそうです。
法人化の判断はシミュレーションが大事
確かに「所得800万」はひとつの目安になりそうですが、見て頂いた通り、
同じ所得800万でも、給料をいくらにするかで結果が異なりました。
さらに、従業員の有無・オフィスの有無・自宅が賃貸or持家・扶養家族の有無など、
様々な要素を考慮していく必要があります。まさに、人それぞれなんですね。
法人化は個人事業主にとって、大きな決断です。
実際にシミュレーションして、最終的に残るお金が今より増えるのか、
この給料で生活が回るのか、そもそも自分は何のために法人化したいのか、
よく検討してから法人化することをお勧めします。
○○円以上なら、全員法人化したほうがいい!と、
断定できる基準はないってことですね。
周りもやってるし、表面的な数字だけ見て、法人化を決めるところでした・・
何事もそうですが、全員にあてはまる基準って、あまりないんですよね。
次回は法人化で増える費用について紹介しますね。