税務調査が省略される!?書面添付制度の効果とは

社長
社長

最近、知り合いの経営者のところに、
税務調査が入ったらしいんです・・
うちの会社も、いずれ税務調査があるんですかね・・

神澤
神澤

社長の会社は今2期目でしたね。
今すぐ税務調査が来ることはありませんが、
やはり将来的にはあると思っていたほうが良いです。

社長
社長

後ろめたいことは何もないんですけど、
何となく怖いイメージがあって憂鬱で・・
でも会社を運営している以上、どうしようもないですよね。

神澤
神澤

お気持ちはよくわかります。できれば避けて通りたいですよね。
100%ではないのですが、社長の不安を和らげる方法がありますよ!

そもそも税務調査って?

税務調査と聞くと、
・たくさん税金をとられる
・取り調べやガサ入れをされる
・怖い
など、いいイメージはお持ちでないと思います。

実際、脱税など違法行為をしている場合を除き、
一般的な税務調査において上記のようなことは、まずありません。

なぜなら税務調査は、申告内容が正しいかどうかを確認するために行われるからです。
申告内容が正しければ何もありませんし、
誤って多めに税金を払っていたのであれば、税金が戻ってくることすらあります。

とはいえ、税務調査のための準備に時間をとられたり、
当日の調査対応で仕事がストップしたり、
税理士への調査報酬がかかったり、お客様からすればいいことは一つもないといえます。

社長
社長

ちゃんとやっているのに不安な思いをしたり、
時間やお金がかかるのは、できれば避けたいです・・

税務調査の流れ

税理士が関与している場合、まず税務調査の連絡は税理士に来ます。
覚えのないような時期に税務署から着信があると、
税理士側としてもやはりドキッとするものです・・

その後、社長に税務調査の連絡を行い、調査の日程を決めます。
個人であれば1日程度、法人であれば2日~3日が一般的でしょうか。
税務署側から希望日を提示されますが、無理に合わせる必要はありません。

調査日までに事前打ち合わせや必要資料の準備を行い、調査当日を迎えます。
10時~16時ぐらいまでで、12時~13時はきっちりお昼休憩を挟みます。

初日午前は事業概要のヒアリングなので、社長にメインでお話頂きます。
午後から帳簿確認に入り、取引内容について質疑応答が続くことが一般的です。

残念ながら、どんな調査も当日で完結するわけではありません。
論点となった事項や、あとから生じた疑問点など、
税理士と税務署の間で、調査後も電話・FAX・郵送で、やりとりが続きます。

その結果、誤りがあれば修正申告や還付手続きを、
何もなければ是認となり、ようやく調査終了です。

個人でも数カ月、法人だと半年を超えることもあるため、
税務調査は長丁場となることが一般的です。

社長
社長

そんなに長く続くんですね・・
ますます憂鬱です(泣)

書面添付制度って何?

前置きが長くなりましたが、いよいよ本題です。
書面添付制度を使うと、税務調査の流れが次のように変わります!

税務調査の前に、税理士と税務署だけの面談(=意見聴取)が入ることで、
ワンクッション置くことができるのが特徴です。

1~2時間の意見聴取のなかで、税務署側の疑問点が解決すれば、
社長が表に出ることなく、なんと税務調査は省略されます!

では書面添付制度とは具体的にどんなことをするのでしょうか?

通常、決算や確定申告の際、
税務署には申告書や決算書だけ提出するのですが、
書面添付制度を利用する場合は、
「税理士法第33条の2第1項に規定する添付書面」をつけます。

各科目の数字はどのような根拠で算出されているか、
売上は増えているのに、前年と比較して利益が減っているのはなぜか、
どんな相談を受けて、どのように検討したのか、
決算書や申告書を見ただけではわからないことを、添付書面に記載します。

要は税務調査で聞かれそうなことを、先回りして作文しておくということですね。

税務署が税務調査に来るのは、
決算書や申告書だけでは、数字の根拠などがわからないからです。
なぜこうなったのかを作文して、申告書とセットで提出することで、
申告書の信頼性を高める効果が期待できます。

社長
社長

税務調査が省略されることがあるんですね!
私が意見聴取に参加しなくてよいのも、精神的にありがたいです。

実際どれぐらい省略になるか

平成29年と少し古い数字ですが、
書面添付制度を利用した場合の調査省略率は、70%を超えています。

ちなみに意見聴取が行われる確率は、
書面添付制度を利用しないで調査が来る確率とほぼ同じです。

つまり、書面添付制度を利用することで、
調査の確率が4分の1に下がるということです。

もちろん、書面添付制度を導入していても、
100%調査が省略になるわけではありません。

意見聴取で、税務署側の疑問が解決できたはずなのに、
最初から税務調査ありきで、形式的に意見聴取を行う残念な事例もあります。
(制度の趣旨として、本来あるべきではないのですが・・)

社長
社長

4分の1の省略率ですか!
例え省略にならなかったとしても、
やる価値は十分ありそうですね。

それでも低い普及率

皆さんが嫌がる税務調査の確率を、合法的に下げることができる書面添付制度ですが、
意外なことに、かなり低い普及率となっています。

※令和2年度公表
・所得税の書面添付割合 1.4%
・法人税の書面添付割合 9.8%

税理士の関与割合は、所得税が約2割、法人税が約9割のため、
所得税の書面添付割合が低いのは納得ですが、
税理士が関与している法人でも、ほとんど書面添付制度を実施していないことがわかります。

単に作文するのが面倒だからやらない、というケースもありますが、
税理士が添付書面に虚偽の記載をすると、最長で2年の業務停止を受けてしまうため、
税理士側としてはリスクが高い制度であることが、
実施しない最大の要因となっているようです。

社長
社長

そんな厳しい処罰があるとは・・
顧問先にしっかり目が行き届いていないと、使えない制度なんですね。

当事務所の方針

私自身、税務調査なんてないほうが良いと思っていますし、
書面添付制度は、積極的にやりたいと考えていますが、
全てのお客様が導入する必要はないと思っています。

幸いなことに、現在は信頼できるお客様しかいらっしゃいませんので、
業務停止リスクの恐れが怖いから、という理由ではありません。

当事務所では書面添付制度を行う場合、月額顧問料が20%UPとなります。
(調査が省略できなかった場合、調査報酬は頂いておりません)

事業内容や規模などから、税務調査が入る可能性が低いと考えられる場合、
お客様にとっては、単なるコスト増になってしまうことから、
書面添付を導入したほうが良さそうな場合のみ、積極的にご提案しています。

社長
社長

うちは売上規模的にはまだ必要ないかもしれませんが、
やはり税務調査は心理的負担が大きいので、
ぜひ書面添付制度のお世話になりたいです。

神澤
神澤

少しでも不安要素を減らしたいからと、

保険代わりに利用されている方もいらっしゃいますよ^^
安心して事業を続けて頂けるよう、お力になれれば嬉しいです!

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